file657 目標の立て方の「発想が大切」です
うつ病なり不安障害なりで、症状に悩まされているときに、その思考の根底には、「すべき思考」should statement があることは少なくありません。 このすべき思考は、私見では、「自己および、他者に対する、高すぎる要求」というふうに感じています。 なにやらわからないが、朝起きれない、起きても、途中で疲れてしまう、何をやっていいかわからない、起きる気力すらない、人前に出るのが不安だ、友人家族と連絡とるのも面倒である。もう、自分には何も出来ないし、生きていることが不思議なくらいに毎日疲れている。 ということは病気になると、「よくあること」であり「多くの人が悩む症状」の一つです。むしろ、これぐらい出なければ、本当のうつ病とか、不安障害とは言えないとすら言えるでしょう。ちょっと気分が落ち込む、ぐるぐる思考が続く、怒りっぽいぐらいなら、まだ軽傷です。 認知の歪みの中では、いろいろ考え方の極端さが指摘されていますが、上記「すべき思考」は、自分を動かせなくする、一つの大きな柱になると思います。 どうして動けないのか?ということを、考えてみると、自分の今の状態に対して、あまりにも壮大なプランを持っていて、それが故に、最初の一段目のステップすら、思いつかなくなっていると言うことがあります。うつ病なのに、毎日、図書館に行って本を読む、とか、毎日家事を数時間する、とか、いきなり就労する、とか、いきなり断薬する、とかいろいろです。 あまりにも、「治りたい!(治るべきだ・俺は病気になるはずがない!)」という気持ちが、強くなりすぎて、闇雲になりすぎているきらいがあります。」 私が、CBTをバーンズ博士の本でやり始めてから思ったのは、本当に、目標を小さくしたことでした。それでも、目標の大小ではなく、そのプロセスをプランニングするという、発想を持つようにしました。 具体的には、1開始 2終了 この2点を、具体的に決めることです。 例えば、コップをあらうという目標を立てたら、1開始動作と、2終了状況をあらかじめイメージして、ことに臨むと言うことです。 そして、完璧さを望まないことです。 家から出るのすらおっくうだったら、まずは、家の扉を開けるという目標も適切だと思います。 そんな目標は意味がないと思うでしょうか? 家の玄関の扉を開けに、ベットから出て、(着替えなくていいんですよ!) 開けて、→そのまま閉めて 1目標が、終了です。これだけ出来れば、目標達成だと思います。 これが出来なければ、外に出ることすら出来ないと私は思います。 だから、通常の成人にとっては、取るに足らない目標かもしれませんし、隣の人には必要ない目標かもしれませんし、実際、必要ないでしょう。しかし、隣人には不要でも、病気を抱えてそうなっている自分にとっては、有意義かつ必要な目標であることは多いものです。 例えば、昔のように働ける、稼げる、学習できると言うことを想像したとき、それに1000のステップが必要だと考えたら、まず最初にやることはなんでしょうか?しかも、簡単にできる1-5分で出来る最初の一歩です。寝たきりである人、寝たきりではないが社会と接触がない人、通院、デイケアは行っているが、働いていない人。そもそも働かなくてもいいが、家事が出来ない人、、、、。 現状が出発点です。CBTの本が読めなければ、読むために数ページ読むのに必要なこと、数ページ理解するための最初のステップはなんでしょうか? その1ステップがなければ2ステップ3ステップが成り立たない、そのまさに今やるべき1ステップ目を見つけ出すという発想が大切です。 私がよく考えたのは、ある場所に行って、雰囲気を感じて帰ってくる。その場所に行って、空気を吸って帰ってくる(行った先が図書館でも、本は読まず、ぐるっと回って帰ってくる)。スーパーに行ったら、物を買わずに、どんなものがどのような場所にあるかを、ざっと下見する。(物は買わない)旅にいったら、旅先で、動き回らず、宿周辺を少し歩くぐらいにする。 と、そんな塩梅で、最初のステップと同じボリューム感のステップを積み重ねていくことで、いろいろ出来るようになりました。 状態が悪ければ悪いほど、病気になる前の自分が頑張っていればいるほど、自己に対する要求は高くなるのが人間です。 しかし、それを現状の自分の物差しとすることは、役に立たないことが多いです。なぜなら、その物差しが故に、自分が病気になった可能性があるからです。 というわけで、 部屋から出られない場合には、玄関の扉の開閉を最初のステップ(着替えまでは要求しない方がいいと思います。)とするくらいの発想が必要です。簡単にできたら、その実力はあると言うことなんです。次に、着替えて、玄関の開閉をする2ステップに進めばいいだけの話です。 最初の玄関開閉で躓いたら、その原因がどこにあったのか? そもそも、自分は、ネットは見られるが、布団から起き上がることが出来ていない、と言うような点に気づいたら、布団から出て、→布団に戻る。ということをステップとして採用すればいいのだと思います。 そしたら、罪悪感なく、自尊心を下げず、満足感とともに、いつもと同じように二度寝するのが、自分への最大のご褒美となると、私は思います。それぐらいが、ちょうどいいのではないでしょうか? 出来ないことを、なぜ出来ないと嘆くよりも、ばからしいことでもプランを立てて、実行して、目標達成して、余韻に浸って、いつもと同じように、(但し、罪悪感をへらしつつ寝てしまう)のが、役立つことだと私は思います。 〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法 にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村
by nichinichiso
| 2015-03-21 19:40
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